社内SEの実態とは?現役エンジニアが語る仕事内容と将来性の現実

現在の企業活動にITは欠かせないものとなっています。そして事業継続を後押ししつつ、企業のIT分野を一手に担う社内SEも、また欠かせない存在になっています。

皆さんの会社にも「社内SE」と呼ばれる方が在籍していると思います。PCやソフトウェアに関する問い合わせやシステムトラブルなどで、日頃から飛び回っている「社内SE」を見ている方も多いのではないでしょうか?

よく目にする「忙しそうな『社内SE』」ですが、本当はどんな業務を担っているのか、ご存知ですか?当たり前のように考えている社内SEの仕事内容を、詳しく紹介していきましょう。

1.社内SEとは

皆さんは、「社内SE」と言うとどんな仕事内容を思い浮かべますか?

業態や企業規模によって仕事内容は様々ですが、一言で言うなら社内SEは『社内の何でも屋』であると言えるでしょう。例えば、良くある社内SEへの問い合わせに下記のような内容があります。

  • 今朝からPCの電源が入らない。何とかならないか?
  • 出張時ノートPCとポータブルプリンターを貸与して欲しい。今日中に使い方も教えて。
  • 営業課に見込み客情報を渡したいが、社内システムからどうやってダウンロードしたら良い?
  • 顧客に見積り書を送る際、先方が受け取れるファイルフォーマットが特殊だった。変換できないか?
  • 突然Googleにつながらなくなった。調べ物があるから早く何とかして。

など、困ったことがあったらまず社内SEに相談することが基本であると言われるほど、社内SEの業務範囲は広い、と言えます。また、所謂一般のSEと社内SEは業務内容が異なります。

               SE・社内SEの主な業務

そもそも、社内SEとは社内に常駐しているSEのことを指します。一般のSEのように、開発プロジェクトが終わったら現場を離れるものではありません。そのため、どちらかと言うと社内SEは「エンジニア」と言った尖ったイメージではなく、「社内で一番パソコンに詳しい社員」のような丸いイメージを持たれることも多いでしょう。Fig1 SE・社内SEの主な業務

このように社内SEは、一般のSEに比べて「開発」よりも「運用」に業務ウェイトが置かれます。そして、この「運用業務」は様々な分野に及ぶことがあるため、苦労する方も多いのです。

では、社内SEの具体的な業務内容を説明していきましょう。

 

2.具体的な業務内容

2-1.システム運用

恐らく皆さんが考える社内SE業務は『システム運用』がほとんどかと思います。その認識に間違いはありませんが、他部署の社員は「社内SE」が社内システム・インフラの運用を専門としているとは思っていません。「社内SEはネットワークに繋がっている全ての機械(極論を言えば、電気が通っている全ての機械)のことは何でも知っている」と思っていると言っても過言ではありません。

社内SEの“あるある”として話があがる内容に、以下に関することがあります。

  • プリンターの印刷トラブル
  • オフィスホンの通話設定
  • 各拠点間テレビ会議の設定

いずれも「社内システム」の一部ではありますが、私たちが考える「社内システム」とは異なりませんか?こう言った「よくわからないものを使えるように整える」ことも、社内SEの重要な仕事になります。自宅でテレビやFAXを設定するのが億劫な方は注意しなければなりませんね。

 

2-2.ヘルプデスク

社内SEへの問い合わせ窓口を一般的に「ヘルプデスク」と言いますが、システム運用に様々な内容があるのと同じように、ヘルプデスクに入る問い合わせも多種多様です。前述のようなハードウェア的な問い合わせに加えて、

  • 社内システムに関すること
  • WordExcelと言ったオフィス製品に関すること
  • 貸与PC、貸与携帯電話に関すること

などなど、例をあげればキリがないほど、いろいろな種類の問い合わせがあります。「マニュアルを調べれば分かること」と片付けてしまうこともできるのかも知れませんが、時間が無い、あるいはマニュアルを見てもよく理解できない、などの理由で、困った末に問い合わせているのですから、分かり易く丁寧に回答したいものです。

2-3.システム改善の提案

そしてもう一つ、重要な業務があります。それは「システム改善」を提案することです。

少しずつ変わっていく業務によって、これまでの仕様では使い難くなってしまった社内システムを、どのように改修すべきか、実際にシステムを使用している業務部門にヒアリングして要件をまとめ、開発ベンダーに修正依頼を発注(自社開発の場合もあります)したり、新規事業のための社内システムを構築するために、開発ベンダーのプロジェクトチームとのパイプ役になったりと、開発案件をプロジェクトマネージャ的立場で進捗管理する時もあります。特に後者の『新規事業』に関わる案件については、現行の社内システムと連動する必要があるか否かによって、既存技術を踏襲するだけでなく、新しい技術を導入することも視野に入れなければなりません。こう言った面からも、社内SEが新しい技術に触れる機会が全くない訳ではないことが分かると思います。むしろこのような時のために、常に新技術にはアンテナを張っていなければなりませんね。

経営層が狙っている事業の方向性を理解し、それに必要なシステム案件をまとめて提案する。それによって作られたシステムが使われて、実際の業務が進められる・・・

自分が提案した業務フローで会社が動いていく様を間近で見られるのは、社内SEならではの醍醐味と言えるでしょう。

 

3.社内SEになる為に必要なスキル

3-1.技術スキル

前章で述べたように、社内SEは企業の事業内容を理解し、事業継続のためのシステム面をサポートしなければなりません。そのため、社内SEとして活躍するには下記のいずれかのスキルを身につけておくことが必須であると言えます。

  • アプリケーション(システム開発)
  • サーバー(サーバー構築)
  • インフラ(ネットワーク構築)

アプリケーション(システム開発)の知識は、社内システムの構造や仕様、設計思想を理解するために必要です。現在の仕様や元々の設計思想が分からなければ、業務の変更に伴うシステム改修や、新規事業に向けた最適な開発要件を出すことができません。社内システムは、それぞれの企業によって使用するプログラミング言語、ミドルウェアが異なりますから、一概に理解しておかなければならない言語や技術を限定することはできません。しかし、システム開発の一連の流れ(要件定義からシステムリリースまで)を理解し、ベンダーに依頼、または自分自身が開発することになった時に備えなければなりません。

またサーバーやインフラの知識に関しても同様です。事業拡大によってサーバーを増強する、あるいは社内ネットワークの構造を変更することもありますし、経年劣化によってパフォーマンスが落ちてしまったサーバー機器、ネットワーク機器をリプレースすることもあります。アプリケーションサーバーや、メールサーバー、ファイルサーバーと言った各種サービスを提供する上で、必要なハードウェア、ネットワーク構成を検討し、将来を見据えて十分なスペックのサーバー、インフラを構築しなければなりません。

3-2.対人スキル

前述の技術スキルも大切ですが、本当に必要なスキルは技術的なものでは無く、対人スキルなのです。ITの専門的な知識が乏しい業務部門からの問い合わせや要望に対して、何を言っているのか、どんなことに困っているのかを正確に捉えるために注意深く話を聞くことや、IT専門用語を分かり易く説明しようとする姿勢なども、その一例です。自席の周りを観察しながら、手助けを必要としている状況をいち早く見つけ、進んで解決のために動けるフットワークの軽さも必要ですね。

3-3.社内SEに向いている人・向いていない人

つまり、

・時間のかかる業務をラクにしてあげたい

・滞ってしまう作業をスムーズにしてあげたい

と言った「困ったことを解決してあげたい」と言う気持ちが旺盛な方は、社内SEに向いていると言えます。反面、社内SEは既存のシステムをブラッシュアップすることが主な業務になるため、SEと違って最新技術をふんだんに扱うことは稀であると言わざるを得ません。そのため、常に新しい技術に触れて身に付けていきたいと思っている方は社内SEに不向きであるとも言えますが、どんな技術を使って既存システムをより良くしていくかを考える上で、最新技術の理解を深めておくことに価値を見出すのも一つの手段かも知れませんね。

4.社内SEの将来性

社内SEの業務は、ほとんどが「滞りなく既存の仕組みを運用すること」や「現状をより良くすること」であり、最新技術を使ってバリバリ開発することはあまりありません。ですので、エンジニアとして技術力を高めるキャリアを求めることは難しいと言わざるを得ません。社内SEは一般のSEのような「エンジニア」としてのキャリアよりも、『企業内の出世コース』をイメージしていただくと分かり易いかと思います。

 

               SE・社内SEのキャリアパス

 

また社内SEは、一般のSEよりも「管理者」としての働きを期待されることが多いのも特徴です。ビジネスパートナーや開発ベンダーと言った協業他社に対して作業を指示する、あるいは、社内システム開発時にプロジェクト全体の進捗を管理するなど、一般のSEで言う「プロジェクトマネージャ」的な役割を果たすこともあります。

社内SEと言うと、業務部門からの要望や問い合わせに対応する、どちらかと言うと受け身な職種であると思われがちですが、決してそうではありません。社内のIT基盤全体を理解し、社内SEの顧客である「各業務部門」のニーズを正確に捉えて事業拡大を後押しする仕組みを提案することができれば、社内の重要ポストに就くことも夢ではありません。

5.まとめ

社内SEは「社内の何でも屋」の側面もありますが、社員が困った時に問い合わせをする、そしてそれに何でも答えてくれる『最後の砦』と思われている部分もあります。また往々にしてこの「困った状況」は、ギリギリになって初めて連絡が来ることがほとんどです。差し迫った状況で問題を解決に導くことは、精神的にもとても難しいことですが、それだけに、対応完遂した時の達成感は一入ではないかと思います。

また事業拡大において、最適なシステム開発を提案することにも大きなやりがいがあると思います。自分が考えた仕組みで業務が進むなんて、考えただけでもワクワクしませんか?

頼りになる社内SEとして社内で存在感を高められるように、全社員のために、社内の全てのことを考えつくすことができますか?

これができるなら、皆さんは立派な社内SEとして業務に向かうことができるはずです。