オンプレミスとクラウドの違いを徹底解説!

今更聞けない「オンプレミス」と「クラウド」の違いとは?

あべとも

インフラエンジニア/運用設計/ボールド歴4年

システム開発、特にお客様との要件定義の場において、「クラウド」という言葉を、昨今よく耳にします。

「クラウド」とは、従来自社内に設置することが多かったサーバやネットワーク機器等のシステム設備を、専門業者との契約により、自社のシステムに必要な分だけ利用するサービスのことです。サーバとの接続には、主にインターネット回線を使用します。一方「オンプレミス」とは、自社のITシステムに必要な諸々の設備を自社内に設置し、構築・運用も自社内で行うシステム形態を指します。サーバとの接続には、イントラネット等の専用線を使用します。

「クラウド」が巷に台頭してきた2000年代当初は、「クラウド」という新しいサービスの波にいち早く乗らなければと息巻いている企業が多いものでしたが、近年自社システムをあえてクラウド化しない企業や、一度クラウド化したシステムを「オンプレミス」に戻す企業が増えつつあります。

一度は「クラウド」の流行に乗った企業が、何故自社システムを「オンプレミス」に戻す事態になったのでしょうか。

本記事では、「オンプレミス」と「クラウド」とはそもそも何?という基本を確認した上で、「オンプレミス」と「クラウド」それぞれのメリット・デメリット、向き不向きについて、ITエンジニア目線でわかりやすく解説しようと思います。


1.今更聞けない「オンプレミス」と「クラウド」の違いとは何か?

「オンプレミス」と「クラウド」の違いとは、ずばりサーバ等のシステム資産やサーバの上で動かすサービスを自社保有するか否かです。サーバ等を始めとするシステム資産をすべての自社内で賄うのが「オンプレミス」で、クラウド提供事業者が提供する仮想サーバや各種サービスを利用するシステム形態が「クラウド」です。

インターネット上に数多あるサイトにおいて、「オンプレミス」と「クラウド」の違いを説明する記事の多くは、「インターネットを使用しているか否か」の一点のみを定義するものが殆どですが、その定義は、実はクラウドサービスが世に出始めた頃の古い定義なのです。

1-1.「オンプレミス」とは「サーバを自社内に所有し、自社内で運用すること」

企業がIT システムを構築する際に、サーバや周辺機器等を購入もしくはリース契約により調達し、自社内や自社保有のデータセンター内に設置、その後のシステム構築、運用・保守作業のすべてを自社内で行うことを「オンプレミス」と言います。従来から企業が一般的に利用してきた運用形態です。

「オンプレミス」は、わたしが25年程前にIT業界に新卒で入った頃には、まだ世の中には存在しない言葉でした。

インターネット等のデータ回線が広く使われるようになり、「クラウドサービス」「クラウドコンピューティング」という形態が世に出始め、それと対局にある従来の運用を表現するための言葉として、「オンプレミス」が使われるようになりました。英語では、正確には「On-Premisses(オン・プレミシズ)」と言いますが、IT業界内では、「オンプレミス」を「オンプレ」と略して使うことが多いです。

以降の表記は、業界人らしく()「オンプレ」と記載します。(但し、項番タイトルは除く。)

それでは、「オンプレ」の対局にある「クラウドサービス」「クラウドコンピューティング」(以降は「クラウド」と表記)とは、一体どんなサービスなのでしょうか。

1-2.「クラウド」とは「クラウド提供事業者が保有するサーバやサービスを利用すること」

「クラウド」とは、ITシステムに必要なサーバや周辺機器を自社で購入、保有しない運用形態のことです。「クラウド」が「オンプレ」と大きく異なる点は、ITシステムに必要なハードウェアやソフトウェアを「所有する」のではなく、「外部利用する」という考え方です。

サーバを始めとするシステム構築に必要な設備やその上で動かすサービスは、クラウド提供事業者がすべて保有し、企業は必要な時に必要な分だけ、インターネット回線を介したそれを利用します。その際に企業側が用意するものは、ネットワークに接続するための最低限の接続環境とクラウドサーバに繋ぐためのPCや携帯情報端末等のクライアント機器、そしてサービス利用料金だけです。

サーバ購入等の設備投資に莫大な費用をかけることなく、従来と変わらないITシステムを構築できるのですから、自社運用のコストに悩む企業の多くは、クラウドへのシステム移行に飛び付きました。

クラウド提供事業者の代表格としては、GoogleMicrosoftAmazon等の誰もが知る大手有名企業があります。


2.「オンプレミス」VS「クラウド」それぞれのメリット・デメリットを理解しよう

2-1.「オンプレミス」のメリット・デメリットとは?

企業におけるクラウド利用が急速に増加している風潮とは言え、「オンプレ」での運用形態もまだまだ健在です。もちろんそれは、「オンプレ」で運用し続けるメリットがあるからです。

ここでは、「オンプレ」のメリットを3点、デメリットを2点挙げて、ご説明します。

2-1-1.「オンプレ」のメリット

(1) セキュリティが堅牢

オンプレのサーバ利用者は自社内に限られるため、セキュリティ上の安全性は、かなり高いレベルで担保することが可能です。業務内容によってはネットワークに接続すらしないので、外部からの攻撃も受けにくいです。

(2) 企業の特性に合わせた柔軟なカスタマイズが可能

自社内運用なので、自社の都合や特性に合わせた自由なカスタマイズが可能です。(もちろんその分の費用は必要となりますが)また、セキュリティ面においても、企業独自のセキュリティポリシーを適用できるため、より堅牢なセキュリティ環境を確立することができます。

(3) 安定的な運用が可能

他企業との共有による性能影響等を受けることがないので、特にネットワークの性能面やセキュリティ面において安定した運用が可能です。

2-1-2.「オンプレ」のデメリット

(1) コストが高い

サーバを始めとするすべての必要機器を自社で調達するため、初期費用もランニングコストも莫大です。加えて、サーバの冗長化やRAID構成を実現するためには、機器の購入台数は1台で足りるわけもないので、更にコスト高となります。故障発生時の機器交換等のための費用も、もちろん自社持ちです。

企業における「クラウド」にかかる費用が「経費」であるのに対して、自社内に必要機器を保有する「オンプレミス」は「資産」に当たるという違いは、なかなか興味深い点です。

(2) 運用負担が大きい

構築、運用・保守もすべて自社内で賄うため、専門的な知識を持った要員の確保が必要となります。また、故障発生時の対応等についても、保守契約を結んだメーカーへの問合せ等以外は、すべて自社内で行わなければいけません。

2-2.「クラウド」のメリット・デメリットとは?

簡単に言ってしまえば、「オンプレ」のデメリットは「クラウド」のメリットであり、「オンプレ」のメリットは「クラウド」のデメリットであると言えますが、事はそう単純ではありません。

ここでは、「クラウド」のメリットとデメリットをそれぞれ3点ずつ挙げて、ご説明します。

2-2-1.「クラウド」のメリット

(1) 初期構築時の手軽さ

クラウド利用のメリットは、何と言ってもその手軽さにあります。必要な設備、サービスはすべて提供事業者側が保有しているので、企業はお財布と相談しながらも、「使いたい時に」「必要な分だけ」利用することが可能です。また、機器調達のための日数もかかりません。

例えば、テストフェーズにおいてテスト用の環境を用意する場合、テスト期間中だけサーバを追加し、テスト終了後はサーバごとリリースするという運用も可能です。

(2) コストが安い

自社内にリアル設備を持たないので、当然その設備分のコストを節約することができます。もちろん提供事業者に安くない利用料金を支払う必要がありますが、オンプレ運用における初期費用、維持費用に比べたら、かなりの節約になります。

(3) 運用は提供事業者任せ

定期的に必要なメンテナンスも、機器故障時や災害発生時の対応についても、提供事業者がすべて作業を担当してくれるので、利用企業は自社の業務にのみ専念することができます。特に災害発生時において、自社の建物の構造によってはサーバ停止の危険性も十分に有り得ますが、クラウド提供事業者は、大概堅牢なデータセンターを保有しているので、安全性はむしろ自社内より高い場合もあります。また、その際の現地への駆けつけ等も提供事業者が行ってくれます。

利用企業は、ただサービスが再開されるのを待つだけでよいのです。

2-2-2.「クラウド」のデメリット

(1) セキュリティの脆弱性

クラウド環境がインターネット上に存在するという点、またクラウド提供事業者が自社のクラウド環境を多くの企業に貸し出しているという点においても、オンプレよりもセキュリティに対する危険度は大きくなります。

クラウド移行した企業が、オンプレに戻る理由の最たるところも、実はこの点にあるのです。但し、昨今ではクラウド環境と企業の間をインターネットではなく専用回線で繋ぐ「プライベートクラウド」という提供形態もあり、セキュリティ面での脆弱性は解消されつつあります。

(2) 自由なカスタマイズが難しい

クラウド提供事業者が保有する環境を借りているわけですから、ある程度は仕方ないとはいえ、オンプレに比べると、やはり自社の好きにカスタマイズするというわけにはいきません。その点については、「自宅は一軒家か、マンションか」をイメージして頂くとわかりやすいのではないでしょうか。

マンションの一室の内装や設備は、ある程度個人の自由にカスタマイズできますが、マンション全体をひとりの住人の好みで変えることは難しいのと同じです。ただ、こちらについても、「プライベートクラウド」を利用することによって改善される部分があります。

(3) 維持費用が意外と高い

クラウドは、オンプレに比べて導入時の初期費用が節約できるというメリットについては先に述べましたが、維持費用だけを見ると、場合によってはコスト高になる場合があります。例えばオンプレ環境では、メンテナンス作業が発生しない月の維持費用は、設備の電気代とオペレータに対する人件費くらいですが、借り物であるクラウド環境では、当然毎月の利用料金を支払う必要があります。それは、たとえその月にシステムを一度も稼働していないとしても、変わることはありません。

その点についても、賃貸住宅の家賃をイメージして頂くとわかりやすいと思います。仮に、長期出張で1ヶ月間1日も帰って来られなくても、家賃の支払いは必要ですよね?


3.「オンプレミス」と「クラウド」の向き・不向き

前章で「オンプレ」と「クラウド」それぞれのメリット、デメリットをあぶり出したことによって、「クラウド」にも、意外に見過ごせないデメリットが存在することをご理解頂けたかと思います。新しいサービスが流行っているからと言ってすぐに飛びつくのではなく、その特性を知った上で悪いところを見極め、良いところだけを導入することが必要です。

ここでは、両者のメリット、デメリットを踏まえた上で、「オンプレ」と「クラウド」の向き・不向きについて、簡単にご説明します。

3-1.セキュリティや自社の独自性をより重視するシステムは「オンプレミス」向き

ここで言いたいことは、まさにタイトルの通りです。仮に、既存システムを丸ごと「クラウド」移行しようと考えた場合に、「クラウド」に向かない条件が3つあります。

① 既存システムのセキュリティポリシーが甘く、ネットワーク上で動かすには不安がある場合。

② ①とは逆に、ネットワーク環境で動かすには懸念が大きい重要なセキュリティデータを扱う場合。

③ 既存システムに独自性が強く、今後もその独自性を保ち続けた運用・保守を行う場合。

それぞれの理由については、「2-2.「クラウド」のメリット・デメリット」のデメリットでご説明した通りです。

最近では、「プライベートクラウド」のようにセキュリティをより強化したクラウドサービスも増えてきていますので、一概に「クラウドが向かない」と断言するのは早計かもしれませんが、上記①~③のような条件を持つ既存システムの場合は、クラウド移行について、より慎重な検討が必要です。場合によっては、機能の一部のみをクラウド化するという選択が得策かもしれません。

3-2.初期費用を抑えたい、運用の手軽さを重視するシステムは「クラウド」向き

まさにクラウドのメリットを最大限活かすことができる条件を持つシステムの場合は、わたしがオススメするまでもなく「クラウド」向きです。

特に、自社システムを構築したいが費用はできるだけ抑えたい、構築、運用のための人員もあまり確保できないという場合には、クラウドのデメリットにも十分注意を向けつつ、クラウド上でのシステム構築を推進しましょう。

3-3.「オンプレミス」と「クラウド」は、用途に応じてバランスよく使おう

「オンプレ」と「クラウド」、それぞれのメリット、デメリットについては、先の2章でも言及した通りです。メリットの影には少なからずデメリットが潜んでいるものです。一時期は、猫も杓子も飛びついた「クラウド」だって例外ではありません。

そこでデメリットについて目を瞑るのではなく、デメリットを補うための手段は何かないか、という考えの元に、「クラウド」と「オンプレ」のそれぞれの用途を活かした共存を検討してみるのも、また前向きなひとつの選択です。

「クラウド」と「オンプレ」、必ずどちらか一方の方式に倒さなければいけない、ということはないのです。逆に、それぞれのメリット、デメリットを補うために、両者をバランス良く活用することができれば、システムとしては、最強構成ではないでしょうか。


4.そのシステム、クラウド移行しても正常に動きますか?~「クラウド」という流行に安易の乗ってしまう危険性~

仮に「オンプレ」から「クラウド」へ完全移行する場合、もちろんメリットはたくさんありますが、事前に確認、検討しておきたいポイントが2点あります。

まず1つ目は、既存システムの機能が、クラウドで実現可能なのかについて、十分確認、検討することです。クラウド化のメリットであるコスト削減を実現するためには、現状のシステム機能の洗い出しが、非常に重要なポイントになります。実は、ここで十分に確認をせずにクラウド化に踏み切り、いざ蓋を開けてみたら、既存システムの機能をクラウド上で全く実現できずに、結局オンプレに戻る企業も少なからずあるのです。セキュリティ要件や運用方針、カスタマイズの自由度等が、既存システムのニーズに合っているのか、事前に十分に確認、検討することが大切です。

そして2つ目は、既存システムのプログラムが、クラウド環境に移行しても問題なく動作するかについて、十分に確認、検討を行い、プログラム移行時のデグレを防止することです。新規システムをクラウドで構築する場合には問題ありませんが、既存のオンプレシステムをクラウドに移行する場合には、決して軽視できない重要な問題です。デグレの危険性については、本サイトで以前わたしが書いた以下の記事をオススメします。

オンプレ環境下でのデグレの恐怖について書いた記事ですが、クラウド移行時においても十分有り得る事象を挙げています。「デグレって何?」という方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

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5.さいごに

「オンプレミス」と「クラウド」、それぞれのメリット、デメリットや、クラウド移行時のポイント、両者共存の考え方について、わかりやすく解説してきたつもりですが、いかがでしたか?少しでも「なるほど」と思って頂けることがあったら、嬉しいです。

オンプレのシステムをクラウド化すれば、すべてが丸く収まるか(改善するか)というと、決してそんなことはありません。大事なことは、クラウド化という流行の波に誰よりも早く乗ることではなく、乗った波でどこへ行くのかという1点です。クラウド化は、あくまでも目的地へ到達するための手段のひとつだと考えてください。

最近、「オンプレミス」と「クラウド」のいいとこ取りである「ハイブリッド方式」の事例も増えてきています。ITエンジニアとしてのわたしたちは、お客様のシステムをどこまでクラウド化するのかを見極め、コストや運用方針、事業継続性等をトータル的に判断し、クラウド化の方針を固めていきましょう。

その上で、クラウド化を推進する、クラウド化を断念する、オンプレと共存する、という大方針を導き出せれば良いのです。

先程から申し上げているように、システムのクラウド利用は、お客様の要望を実現するための手段のひとつに過ぎません。「お客様の要望をよりベストな状態で実現する」という究極の目的を達成するために、世間の流行に流されることなく、お客様にもシステム構築側のわたしたちにも、どちらにとってもメリットがあって嬉しい状態、「Win-Win」を目指しましょう。

ITエンジニアは、お客様の要望を「IT」を使って実現するサービス業、といっても決して過言ではないのですから。

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