汎用系について解説!

汎用系に未来はあるか。今まで生き残っている理由から予測してみる。

20代、30代のITエンジニアのみなさんの中で、「汎用系」と言われてすぐに「あれか」とイメージできる人は、そう多くないと思います。

「汎用系」とは、現代のシステム開発の主流である「オープン系」より以前に主流だった大型コンピュータを使ったシステム開発、またはそれに従事するエンジニアを指します。

「何だ、レガシーなシステムか」と思うかもしれませんが、転職サイトで「汎用系」のキーワードで検索してみると、未だにそこそこの数の求人情報がヒットします。

実は近年、レガシーであるはずの「汎用系」の重要性が再認識されてきているのです。

オープン系開発が主流なこの現代で、レガシーな「汎用系」が、何故未だに生き残り続けているのか、そもそも「汎用系」とは、どのようなものなのか。

本稿では、その疑問について解き明かしてみようと思います。


1.「汎用系」とは何か?

書き出しでもご説明したように、「汎用系」とは汎用型の大型コンピュータを用いたシステム開発、またはそれに従事するITエンジニアを指します。

本章では、それぞれの概要について、「汎用系コンピュータ」、「汎用系エンジニア」に分けて、ご説明します。

1-1.「汎用系コンピュータ」とは

「汎用系コンピュータ」とは、大企業や政府機関など向けの超高性能で高速データ処理が可能な大型コンピュータのことです。業務用の巨大な冷蔵庫が何台も並んでいる姿を想像していただければ、イメージ的には大分近い姿ではないかと思います。

「メインフレーム」、「ホストコンピュータ」、「大型汎用コンピュータ」、「汎用機」等呼び方は多々ありますが、どれも凡そ同じものを指すと考えて差し支えありません。

記載を統一するために、本稿では以降「汎用機」と表記します。

「汎用系」と呼ばれるのは、それ以前のコンピュータは特定の用途ごとに特注で製造されるのが一般的だったからです。汎用機は、ソフトウェアや機器構成をその目的によって柔軟に変更することできるという点においては当時としては画期的でした。

また、汎用機は、内部設計やパーツ、OS、アプリケーションソフトまで、そのほとんどがメーカーによる独自仕様、独自開発の製品であるという点が大きな特徴です。

例えば、OSについて言えば、「MVS」だったらIBM製、「XSP」「MSP-EX」だったら富士通製というように、名前を聞いただけでメーカーが判別可能です。

このため、機材の調達やソフトウェア開発、設置・導入、保守・運用まで、各汎用機メーカーがすべての工程を独占的に受注するという形になりやすくもあります。

更に、汎用機には、以下のような特徴があります。

汎用機の特徴

  • 各メーカー独自のハードウェア、OSにより構築される場合が多い。
  • 複数業務の並行稼動性(マルチタスク処理)が可能。
  • 安定したスループット(時間当たりの処理能力)により、大量のデータ処理、大規模帳票出力等が得意。
  • 徹底した冗長化を実現、問題判別用の各種トレースを装備し、細かい単体FIXの迅速な提供等による信頼性が高い。
  • 販売価格、保守費用共に非常に高価。(汎用目的で使用できるとは言うものの、各メーカー独自のハードウェア、OSを使用しているため)
  • 筐体サイズが大きい。(複数フロアを占有するマシン室等の設置スペースが必要)
  • 各メーカー独自仕様で作られているため、良くも悪くもメーカーへの依存度が高く、ITエンジニアのスキルについても各メーカーに依存したものになる。(IBMが得意とか、富士通系が得意とか)

上記のような特徴を持つ汎用機は、主に銀行や保険等の金融機関、大手流通業のPOSシステムや商品データ管理、更にはメーカーの製品管理や部品管理、運輸会社の座席予約システム等の、ミッション・クリティカルで大量なデータを処理する現場で多く使われてきました。

また、旧来の専用機と比べて、汎用機は格段に性能も高く、パソコンの普及と共にオープン系に取って代わられるまでは、システム開発の主流に位置する大型コンピュータでした。

1-2.「汎用系エンジニア」とは

「汎用系エンジニア」とは、文字通り汎用機を相手にシステム開発を行うITエンジニアのことです。

汎用機を使用したシステム開発では、IBM、富士通、日立製作所等の各メーカーに特化した汎用機上で、COBOLPL/I等の開発言語を用いて、主に基幹システムの設計・開発、運用保守作業を行います。

主なエンドユーザとしては、生命保険、損害保険、銀行、クレジットカード会社等の大手金融機関や、社会的な影響の大きい大企業や官公庁等が多く挙げられます。

そして、誰もが知っている名だたる有名企業の大規模システムにおいて、自分の実力を発揮できるという点では、かなり大きなやりがいを得ることも不可能ではありません。

参考までに、わたしの過去話をひとつご紹介しますね。

わたしは、新卒で入社した大手メーカーの関連子会社では、汎用系エンジニアとして約10年間、官公庁の大型システムや大手通信系の料金明細システム等の設計、開発業務を担当していました。

開発言語はCOBOLです。

そして、ここで主に使用していたOSを書いてしまうと従事していたメーカーまで暴露してしまう程、汎用機とは各メーカーごとのアーキテクチャに依存したものなのです。

入社当時はシステム開発の主流だった汎用機も、わたしがその会社を退社する頃には、「10年後には汎用系の仕事は完全に無くなるだろう」とまで言われていました。

しかし、その予想は大きく外れ、汎用機は細々ながらも今でも現役で動き続けています。


2.「汎用系」が未だに生き残っている理由とは?

2-1. 汎用機が動き続ける理由

「そう遠くない将来消えてなくなる」と思われていた汎用機が、大方の予想に反して、未だに社会的影響の大きいプロジェクトにおいて動き続けているのは、何故でしょうか?

それは、オープン系では取って代わることができない、汎用機にしかできないタスクが、未だに数多く存在するからです。

2-2. 汎用機を動かし続けるメリット

汎用機で長年運用し続けてきたソフトウェア資産への信頼性やノウハウは、企業にとって貴重な財産であり、そう簡単にオープン系に乗せ換えられるものではありません。

更には、汎用機からオープン系システムへの全面的な移行にはかなりのコストが掛かる上に、システムの信頼性や既存資産のノウハウが失われてしまうというリスクもあります。

また、オープン系システムは、汎用機と比べて運用コストを低く抑えることができると言われていますが、実際のところは、ハードウェアの寿命やOSのバージョンアップ、保守期限切れ等によって、多くのコストと人手を掛けた対応を繰り返す必要があります。

その度に被るコストとリスクを考えれば、必ずしもオープン系システムへの移行が最良の策ではない、ということに、多くのユーザ企業が気づき始めたのです。

そして、オープン系が台頭してきた当初には、猫も杓子もオープン系への完全移行という傾向が強かったユーザ企業も、今では汎用機とオープン系をうまく両立して使い続けることによるメリットの方が大きいと判断するようになったのです。

2-3. 汎用機を動かし続けるデメリット

汎用機を動かし続けるメリットの一方で、もちろんデメリットも存在します。

その最たるものが、汎用機と最新の技術動向との「ギャップ」の大きさです。

レガシーなシステムだけに今後大きく発展する見込みのない汎用機と、最先端技術とのギャップをいかに埋めるのか。それが、現在でも汎用機を製造、提供するメーカー各社の大きな課題であると言えるでしょう。

また、汎用機を長年動かし続けることによるデメリットとして、汎用機の開発、保守を行うスキルを持ったITエンジニアの確保が難しいという点についても、見過ごせない問題です。

これらのデメリットについては、以降の3章でお話しようと思うので、ここでの詳細は割愛します。


3.「汎用系」に未来はあるか

3-1. 汎用機の未来予測

20年以上前から「近い将来になくなる」と言われ続けながらも、未だに現役で動き続けている汎用機。とは言え、現代においてレガシーであるという事実には、何ら変わりはありません。

汎用機には、今後どのような未来が待っているのでしょうか。

まず、オープン系が主流の時代の中で、汎用機や使用言語に精通するITエンジニアが確保しにくいという状況は、今後ますます増大していくでしょう。

だからと言って、汎用機メーカーも、ただレガシーなシステムをだましだまし動かしているわけではありません。

汎用機の信頼性や堅牢性といったメリットはそのままに、オープン系のイノベーションと汎用機を結び付けることを目的としたメーカー企業の取り組みも進められています。

3-2. 汎用系エンジニアの未来予測

汎用機の開発で使用する言語は主にCOBOLですが、近年COBOLができるITエンジニアが減ってきている傾向にあります。

ここまでお読みになってきたみなさんは、それが何故なのかもう薄々おわかりですね。

当時COBOLを使ってバリバリ開発に励んでいたITエンジニアたちは、時代の流れと共に企業の中で出世した結果管理職となったり、また一方では、体力知力の限界を感じてIT業界から消えて行ってしまったためです。

汎用機は、長年「消える消える」と言われ続けて来た歴史があるため、現場のエンジニアたちも、自分たちの継承者を積極的に育てることなくここまで来てしまった結果です。

すぐには消えないとはいえ、大きく発展する未来の可能性も低い汎用機ですが、別の見方をすれば、汎用機の開発言語を使えて、かつオープン系の業務経験もある20代、30代のITエンジニアは、ある意味チャンスな状態であるとも考えられます。

すぐにではないとしても、やがて来るであろうオープン系とのマイグレーション(移行)の際に、汎用系、オープン系両方に精通している若手のエンジニアが、現場において重宝されないわけがないからです。


4.さいごに

ここまで、汎用機と汎用系エンジニアについて未来予測も含めてご説明して来ましたが、いかがでしたでしょうか?   

本稿を読み始める前よりも、「汎用系」についての理解が深まり、レガシーではあるけれど堅実な汎用系エンジニアも悪くないな、と認識を新たにしていただけたら、こんなに嬉しいことはありません。

システム開発において、使用するコンピュータも開発言語も、所詮はお客様の要望を実現するための手段のひとつに過ぎません。「お客様の要望をよりベストな状態で実現する」という、究極の目的を達成するための秘密兵器の数は、多ければ多いほど自分の「強み」になると思いませんか?

汎用系を、ただの「やがて消えゆく過去の遺物」と思わずに、スキルアップの可能性のひとつとして考えてみてはいかがでしょうか?

思ってもみなかった、新たな可能性の扉が開くかもしれませんよ。

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