エンジニアは40代がキャリアを決める最後の分岐点。今やるべき事とは

エンジニアは定年まで活躍するのは難しいと思っている人は多いのではないかと思います。実際、、昔はIT業界では「35歳定年」という風潮がありました。しかし、人材不足が加速するIT業界では、40代で転職に成功している人もここ最近増えています。その反対で、間違った会社選びをしたことにより転職したことで今までよりも環境が悪化したという方もいます。

年齢によって転職する際の会社の選び方は大きく変わります。特に40代エンジニアは、2030代とは見るべき点も大きく変わりますし、もしかすると転職しない方が良いといった事もあるかもしれません。

私は、最年長エンジニアが63歳の会社で人事担当として勤め、多くの40代のエンジニアの方々とお会いしてきました。40代で年収1000万以上の方もいれば、年収が300万円台で年収アップを望んで前職を退職したものの職に困っているようなエンジニアの方もいました。転職しやすい市場だからと言って、全員が転職に成功するわけではありません。

今回は、年間で1000名以上の40代エンジニアと面接を行ってきた私が、40代のエンジニアが転職を決意する前に知っておいてほしい40代エンジニアの実情を包み隠さずお話ししていきます。

 

1.40代がエンジニア転職のラストチャンス!

転職を成功させたい場合、40代がラストチャンスです。妥協しての転職であれば50代でも出来るかもしれません。しかし、今よりも好条件で転職したい場合は、40代で転職する事をおすすめします。

その理由は、以下の通りです。

  • 人材不足により経験者のエンジニア採用に苦戦している会社が多い。その為採用対象の年齢を拡大している。
  • しかし、採用担当にとって、50代を採用する事にまだハードルを感じてしまう傾向にある。
  • 40代をピークに年収が下がる企業もあるぐらいなので、50代で転職してくる人材に年収を張る企業は少ない。

 

1-1.なぜ40代が転職のラストチャンスなのか

50代で自分のキャリアを考え直し改めて転職しようと思っても、既に時遅しです。

その理由は、少子高齢化と人材不足により、年齢関係なく活躍しやすい環境になったとはいえ、まだまだ50代を積極的に採用する会社は少ない状況です。実際に、人材派遣やSESを行う企業に寄せられるプロジェクトの人物要件も、40代までと記載されているプロジェクトがほとんどです。

50代になると技術力だけを企業側に評価され内定を獲得するのは難しく、マネジメントはもちろん、一緒に働く社員に良い影響を与える事、つまり人間性に期待して内定を出します。その為、50代まで約30年間別企業で働いて、働く事への価値観が固まった人材を正社員で雇用するのはリスクがあると企業側も感じ、採用に慎重になるのです。

ですので、転職を考えた場合は、40代がラストチャンスと考えたほうが良いのです。

1-2.40代で転職に成功する人の特徴

しかし、40代でも転職しやすいからと言って、全員が転職に成功するとは限りません。転職は出来たものの、今よりも条件が悪化してしまう人もいます。

※転職の成功は人それぞれ何を指すかが異なると思いますので、ここでは、転職成功=年収アップ・希望する業務・労働環境の改善等自分の希望が叶う転職とします。

今いる会社での状況が相当悪く少しでも良くする為の転職は別ですが、現在が妥当な待遇でそれをより良くすることを目指す場合は、慎重に考えるべきです。

40代で転職を成功させることが出来る人は以下の4つの特徴があります。

  • マネジメント経験がある事
  • 要件定義、設計のフェーズの経験がある事
  • ニーズの高い技術分野で強みがある事

上記の項目が当てはまらない人は、転職すべきかをもう一度検討すべきでしょう。

また、

  • 転職回数が5回以上の人
  • 今まで在籍期間が3年以内で退職した多い

上記が当てはまる人は、採用担当は早期退職を懸念し敬遠する傾向もあるので、転職を控えることをお勧めします。

40代はマネジメント等の他社員にも影響を与えるような重要ポジションを任せる事を前提に考えている企業も多い為、2030代の頃よりも長期間活躍する事を求めているのです。

1-3.40代で新しい領域にチャレンジするには覚悟が必要

エンジニアとしての将来を考えた時に今の仕事を後20年続けていくことに不安を感じる人もいると思います。今とは違う新しい分野にチャレンジしてみたいと頭をよぎる人もいると思います。

しかし、それは相当の覚悟が必要です。エンジニアは技術職で、新しい事にチャレンジするという事は今まで磨いてきた技術を捨ててのチャレンジになる事と同じですので、未経験とほとんど差がない状況なのです。

今の生活水準を落とさなければいけなくなったり、キャッチアップの為に相当の努力が求められるたりする為、そのような状況でもやっていけるのかを考える必要があります。家族がいる人は家族にも相談してみて下さい。

しかし、40代が転職のラストチャンスですので、チャレンジしたいと思った人は、直ぐにチャレンジする為の準備を始めてみて下さい。

 

2.40代エンジニアが転職先を選ぶ時に注意したい事

40代を採用する会社は増えていますので、転職を考えた際の選択肢は多くあります。

20代30代と40代では転職先を決める際に見るべきポイントは異なります。とくに、40代で転職する人はこの転職が最後の転職と思って、将来の事を考えて会社を選ぶ必要があります。

全てが自分の理想通りの会社はなかなかありません。自分の絶対に譲れない事は何かを整理し、その項目が希望通りか、この環境で定年まで働き続けられるかを徹底的に確認しましょう。

20代30代とは異なりラストチャンスですので、ひとつひとつ丁寧に確認していきましょう。

2-1.年収面について

年収面で注意したい事は、内定時の提示の金額だけでなく、定年まで勤めていく際の想定の年収をイメージする事です。企業側は、内定を出す際に嘘が無い程度で条件面を良く見せようと工夫します。それをそのまま受け止めるのではなく、提示年収の内訳や将来の上がり幅はしっかりと確認しておきましょう。

-残業時間を抜いた提示年収に納得しているか

年収提示の際に、基本給に想定の残業代をプラスして条件面を提示する会社があります。その想定の残業時間が50時間や70時間等、高稼働を想定した定時になっている場合は特に注意すべきです。

残業時間が多い環境である可能性もありますし、残業がほとんどなかった場合は、提示年収よりも実際の年収が大幅に下がってしまう場合があります。年収は、内訳を細かく確認し、残業時間を含まない年収に納得できるかを判断しましょう。

-提示年収に満足しても、その後上がっていく可能性があるのか

入社してから年収が全く上がらない企業もあります。転職して働いていく中で、年収が上がらないとまた転職を考えたくなる可能性があります。自分の成果や会社への貢献度を評価し、年収が上がっていく会社に所属する事が就業意欲にもつながりますので、入社してからの昇給制度についても確認すべきです。

企業によっては、50代以降は役職定年で、年収が下がる場合もありますので、その点も確認しましょう。

-提示年収が現在の年収よりも大幅に高い場合は、期待に応えられるかを考えよう

現在、景気が良いので、転職すると年収が上がると考えるのが世の中の常識になりつつあります。転職するだけでスキルが上がるわけではないので、年収が上がるのは、企業側の期待の表れです。あまりにも現在よりも年収が上がる場合は、その期待に応えられるかを考えましょう。入社したものの、プレッシャーに耐えられないとか、やったことが無い業務に就いていけないといった話しを聞く事もあります。

年収アップにはそれだけ、年収以外の部分に負担を伴うという事を忘れないようにしましょう。

2-2.就業環境について

最後の転職ですので、仕事内容だけでなく定年までの事やプライベートの事も考慮して会社を選びましょう。今が希望通りで合っても将来どう変化するかわかりません。

長く活躍していく為には、以下の3つの項目は必ず意識して会社を選びましょう。

-メンバーではなくマネジメントの経験が少しでも積める可能性があるのか

ずっとメンバーとして40代後半5060代と働き続けるのは難しいです。入社する時は、マネジメントの経験が無くメンバーとしてのスタートだったとしても、入社してしばらく実績を作ってからマネジメントの経験が積めるかを見ることで、エンジニアとしての長期就業の道が見えます。

-残業時間や休日、出勤時間、勤務場所等、家族の事も考えて納得できているか。

どんな仕事を任せられるかだけではなく、その仕事を行う環境も長期就業には重要な要素です。特に家庭があるエンジニアは、家族との時間が取れるか等を考慮して仕事を選ばなければ、家族に応援してもらうのは難しいでしょう。

仕事のやりがいや成長を求める2030代とは異なり、40代はより現実的な視点で会社選びをしていかなければなりません。

-仕事内容だけでなく、会社の方針に共感できるか

最初任される仕事内容に満足していたとしても、その後510年と同じ仕事を行っていく中で、マンネリしてくることもあると思います。仕事無いようにやりがいを感じなくなると、入社時は気にもしなかった自社の様々な面が気になり出します。

仕事内容だけでなく、会社の風土を決める経営方針や仕事の進め方に納得できるかも長期就業の為には重要です。

2-3.長期就業について

自分が長く活躍したいと思っても、会社の経営状況が悪化したり、そもそも企業に雇用し続ける意思が無ければ働き続けることは出来ません。

40代の会社選びで最も重要なのは、長期就業が出来る環境かですので、以下の3つの項目を確認しましょう。

-同年代の社員が在籍しているか(平均年齢が20代は危険)

最後の転職という意味でも、働きやすい風土という意味でも、40代や50代の社員が在籍しているかは確認しましょう。若手の社員が多いと、社風に馴染めないといった事もありますが、何よりも定年まで勤められる環境かどうかもわかりません。

-設立に対して在籍社員人数が著しく少ないのに、求人の募集人数は多くないか

設立30年、在籍人数80名、募集人数10名。ここ最近で採用活動に積極的に取り組んでいるとか、5年ごとに採用しているとか理由があれば問題ない場合もありますが、多くの場合は離職率が高い可能性がありますので、会社規模と設立年、募集人数のバランスは確認しましょう。

-常駐型の場合、現場に入ってっから、ほったらかしになっていないか

客先での業務を行う場合、お客様先に行ってから自社とのかかわりはほとんどないといった事が良くありますが、そういった会社で定年まで勤められるかを考えてみましょう。

ほったらかしの会社は社員の将来を考えていない会社が多いです。景気が悪くなったり、自社の業績が悪化したりするとリストラする会社も多いです。

社員を大切にし、客先に参画してからもサポートしてくれる会社かを確認しましょう。

 

3.40代のエンジニアが、生涯活躍する為に今すべき5つの事

40代になり、自分の将来に不安を持ち始める人もいるかもしれませんが、ただ漠然と不安を感じているだけでは意味がありません。2030代と40代では、企業から求められることは大きく変わってきます。

定年まで活躍し続ける為、ずっと必要とされる人材であり続ける為に、不安に感じたら少しでも将来の為に行動を起こしてみましょう。

将来の為に具体的に何をすべきかご紹介します。

3-1.IT系の上位資格を取得してみる

2030代から自己研鑽し、資格取得をしていれば問題ありませんが、忙しくてなかなか自己研鑽に費やす時間が無かったという人程、資格を取得してみましょう。40代からでは遅いと思うかもしれませんが、何もしないよりはましです。

基本情報技術者試験やベンダー系の下位資格では、アピールになりづらいので、自分の得意分野で上位資格に挑戦してみて下さい。下位資格を幅広く保持しているよりも、得意分野のノウハウを証明するような資格で下位資格からチャレンジし、上位資格を取得する事をお勧めします。

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3-2.IT業界のトレンドには常にアンテナをはっておく

トレンドを理解する事で、研鑽意欲の高さや技術者としての意識の高さをどんな時もアピールすることが出来ます。

40代だから50代だから最新の技術には疎い時代遅れの人と思われないように、プロ意識を持ち常に技術には敏感でいて下さい。同じチームの若手エンジニアとの会話のネタになることもあるかもしれません!

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3-3.能動的に仕事に取り組めているかを振り返る

今の自分の仕事の仕方を振り返っり、能動的に仕事に取り組めていない場合は、姿勢を改善してみて下さい。

年を重ねると、能動的に行動するか柔軟性はあるか…といった保守的な行動を企業側は危惧します。人は年を重ねると今までの経験によって、思考が凝り固まりがちです。常に柔軟に、そして積極的に業務に取り組む姿勢は、周りからの評価を格段に向上させます。

自分の行動が凝り固まっていないか、保守的になっていないか、今一度振り返ってみて下さい。保守的になっている場合は、恥ずかしがらずに言動をガラッと変えてみて下さい。

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3-4.退職を申し出る前に、自身の市場価値を知る

現職での就業に不安を感じる場合は、退職を申し出る前に就職エージェントに登録してみたり、転職フェアに参加してみたりして、自身の市場価値を知る為の行動を起こしてみましょう。

退職の旨を会社に伝えてから、転職活動を行うのはリスクがあります。他企業を見てみた結果、今の環境が良かったと思う人もいるぐらいです。転職を決断する前に、自分の市場価値を知ったり、他企業の情報収集を行ったりして、事前準備をしっかりしましょう。就業中でなかなか転職活動がはかどらないという人もいると思いますが、今は土日に面接を行う企業も増えていますので、活用していきましょう。

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3-5.職務経歴書を作成してみる

もし転職を検討する場合は、職務経歴書をまずは作成してみましょう。作成した中で、アピールできる実績がない場合は、転職を辞め今の仕事でまずは成果を出すことに注力して下さい。

職務経歴書を書く事は、自身の今までの仕事を振り返る良いきっかけになります。文字にして、客観的に自分の今までの経歴を見てみると、あまり成果を出せていなかったと気づく事もあります。企業側に自分の経歴を魅力的に感じてもらわないと転職に成功する事は難しいので、魅力的に見えないと思った人は、転職タイミングを見直し、今任されている仕事で実績を上げたり、自己研鑽で実績を上げたり、アピールポイントを作る事にまずは専念しましょう。

 

4.さいごに

40代という年齢は、定年までの約20年を考えた時に、自分のキャリアを見直すタイミングになる方が多いと思います。そんな時転職を一つの選択肢に入れられるのは40代までです。しかし、今このタイミングで転職する事が必ずしも将来の自分の為になるかは人それぞれです。

「今の環境が不満だから転職すれば改善される」というのは、必ずしもではありません。

まずは、自分のスキルや希望としっかり向き合い、自分の市場価値を知り、本当にこのタイミングで転職すべきかを考えてみてください。今の会社に残り、現状を希望する方向に改善していく道もあるかもしれません。

もし転職という道を選ぶのであれば、会社選びは40代に即した視点で慎重に選択していきましょう。