組込エンジニアを徹底解説

組み込みエンジニアの仕事とは?内容から必要なスキル、年収まで公開

普段私達が使っている家電、電子製品などは、内部にその機能を制御する「システム」が組み込まれています。

それは冷蔵庫からスマートフォンまでありとあらゆる製品に当てはまります。そしてその製品を制御するソフトウェアを開発するのが、「組込みエンジニア」です。聞きなれない職業かもしれませんが、組み込みエンジニアは私たちの生活を支える非常に重要な役割を担ってくれているのです。

今回は組み込みエンジニアの仕事内容や年収、どうすれば組み込みエンジニアになれるのか?などを徹底解説していきます。

1.組み込みエンジニアとは

普段の生活で使用している製品に一番近いエンジニアが、この組み込みエンジニアです。

一見耳慣れない言葉ですが、電子レンジや冷蔵庫などを動かす重要なソフトを制作しています。生活必需品に密着したエンジニア職種なので、その需要は安定感があります。

1-1.組み込みエンジニアの仕事内容とは?

組み込みエンジニアは、家電製品や機器などの製品の中に組み込まれたコンピューターを制御するためのシステムを開発します。

その対象は冷蔵庫や炊飯器、スマートフォン、自動車など多岐にわたり、それらの機能を作動させるソフトウェアを機器本体に組み込むのです。例えば、冷蔵庫には冷蔵庫内を一定の温度に保つために、温度の上昇を感知すると冷蔵庫の中をより冷やそうとする温度センサーなどの機能が備わっています。

その機能を作動させるために必要なシステムを設計し本体に組み込むのが組み込みエンジニアの仕事になります。

1-2.組み込みエンジニアの年収

組み込みエンジニアの平均年収は年代別でみると、20代で約391万円、30代で約527万円、40代では約660万円となっており、同年代の平均年収と比べ、3060万円ほど多くなっているので、基本的に平均年収は高めといえるでしょう。

しかし他のエンジニアと同じく、関わっているプロジェクトや仕事によって年収が大きく変わってきます。また取り扱う言語によっても平均年収が変化するのが特徴で、C言語を取り扱うエンジニアは約660万円、アセンブラの場合は、それよりやや低い570万円程度です。

2.組み込みエンジニアになるには?

2-1.組み込みエンジニアに必要な知識

当然のことながら組み込みエンジニアにはソフトウェアに関する豊富な知識が必要とされます。

しかしソフトウェアの知識だけでなく、そのソフトウェアを組み込むハードウェアとの兼ね合いについても考えられるように、ハードウェアの知識も備えているといいでしょう。

2-2.組み込みエンジニアに必要なスキル

よく使われる言語は「C」「C++」「Java」「アセンブリ」です。

C言語はソフトウェアを開発するうえで最も重要な言語といえます。シンプルで互換性・汎用性が高く、動作の想定がしやすいため組み込みエンジニアに重宝されています。一般のオープン言語としての使用ではなくマイコン制御などの特殊な使い方をする点に注意です。

また「アセンブリ」も組み込みエンジニアのほとんどが習得している言語になります。機械語にかなり近い言語で、ソフトウェアの制御に必要になります。「C++」や「Java」も汎用性の高さから用いられることもありますが、「C」と「アセンブリ」の二つを取得していれば十分です。

組み込みシステムでは「TRON」というOSがよく用いられるため、利用できるようにしましょう。同時に「ITRON」という仕様についても勉強しておくと役立ちます。

またクライアントのニーズを反映し、効率よくソフトウェアの開発を行わなければならないため、コミュニケーション能力も組み込みエンジニアに求められるスキルの一つです。

2-3.組み込みエンジニアに求められる現場

組み込みエンジニアが求められる現場は非常に広大です。

冷蔵庫や炊飯器の中にもマイコンという小型のコンピューターが内蔵されており、自動車・通信機器・産業機械とありとあらゆるコンピューターを内蔵した機械に組み込み系ソフトは欠かせません。

我々が使用しているほとんどの機械がこの組み込み系ソフトのおかげで機能しているので、まさに縁の下の力持ちといえます。

2-4.組み込みエンジニアに求められる専門性

組み込みエンジニアには分野によって求められる専門性が違います。

家電などの小型機器で作動するソフトウェア開発では、様々な機器に対応する対応力が求められます。冷蔵庫に温度センサーを組み込むにはどうすればよいのかなど非常に専門的な知識が必要になるのです。

また家電などの小型機器に搭載されているコンピューターは能力が限られているため、機能を作動させるのに必要なすべてのプログラムをどう収納するかという豊富な知識と高度な技術も要求されます。またスマートフォンなどの通信機器ではスピードに特化したソフトウェアを組み込む技術が要求されます。ネットワークの発達によって年々通信速度が増しているため、そのスピードに対応する技術と最新のIT技術に関する知識が必要とされるでしょう。そして産業機械などの分野では家電や

自動車を生産する産業用ロボットの制御機器にもプログラムを組み込みます。ここでは決してトラブルが起こらないような正確で慎重なプログラムを設計するスキルと汎用性の高いソフトウェアを開発するスキルが求められます。上記以外にも様々な分野で組み込み系のソフトが導入されているため、非常に多くの専門的スキルが求められる職業といえるでしょう。

2-5.組み込みエンジニアに活かせる資格

組み込みエンジニアに活かせる資格として「ETEC」があります。一般社団法人組込みシステム技術協会が実施している組み込みエンジニア向けの試験で、「ETEC」とは「組み込みソフトウェア技術者試験」の略称です。

試験は初級の「クラス2」と中級者以上を対象とした「クラス1」の二つのクラスに分類されています。「クラス2」では大学・専門学校卒業レベルの技術が問われます。「クラス1」は「クラス2」で500点以上取らなければ受験できず、設計、テスト工程に必要な知識や、開発プロジェクトでリーダーを担ううえで必要な知識などが試されます。テストはTOICのように得点制で、合格不合格がないのが特徴です。

2-6.組み込みエンジニアになるための有利な学校や専攻

やはり理系の大学を出ていないと組み込みエンジニアになるのは難しいです。

組み込みエンジニアに有利な専攻についてですが、組み込みエンジニアはソフトウェアとハードウェアの二つの知識が要求され、ソフトウェアよりもハードウェアを理解する方が難易度が高いので、電気・電子工学科を専攻した方がいいと思われます。

ソフトウェアなどを勉強する情報工学科ではハードウェアの知識を得る機会はありませんが、電子工学科でマイコンを使えば、結果的にプログラミングをすることになるので、やはり電気・電子工学科がおすすめです。しかし現在組み込みエンジニアの人手不足が深刻化しており、業界の敷居は低くなっています。

比較的ロースキルや未経験者でも募集があるテスト・デバック業務で経験を積んでITの知識と技術を身につければ、組み込みエンジニアになるのも夢ではないでしょう。

3.組み込みエンジニアの将来性

3-1.組み込みエンジニア領域の拡大

現在IoTの分野が非常に成長しており、アップルウォッチやホームセキュリティのような、日常目にするあらゆるものにセンサーやマイコンが搭載され、インターネットに接続できるようになっています。

こうした機器の開発には当然、組み込みエンジニアが必要になり、今後ますます組み込みエンジニアの活躍の場は広がっていくでしょう。またAIの発達も組み込みエンジニアの仕事と深く関わっています。自動車の自動運転やコンビニ・スーパーで導入され始めた自動レジ、声だけで家の照明がつけられる照明器具など、物の自動化にもソフトウェアやコンピューターの制御システムが欠かせません。

このように技術の発達と組み込みエンジニアの需要は深く結びついているのです。

3-2.組み込みエンジニアに今後求められるスキル

組み込みエンジニアの活躍の領域が広がっていくにつれて、求められるスキルもより高度になります。

家電製品の中にはこれまでも組み込みシステムが搭載されていましたが、IoTの分野が発展するにつれて、これらの機器がインターネットにつながるようになり、今後さらに高度な組み込みシステムの開発が必要になります。

それにともなって、組み込み系エンジニアに求められる技術レベルや知識量はますます高度なものになるでしょう。

4.まとめ

組み込みエンジニアは裏方的な要素が強いため、消費者から直接感謝の言葉をもらうことは少ないでしょう。

しかし街中で自分が組み込んだシステムで動く商品を見た時の達成感は格別です。これは、他のエンジニアよりも生活に身近な商品に携わることが多い組み込みエンジニアならではのやりがいです。

現在深刻な人手不足で、業界の敷居が低くなっているこの機会に、あなたも組み込みエンジニアを目指してみてはいかがですか?

  • 組み込みエンジニアは独立した機械の中に組み込まれたコンピューターを制御するためのシステムを開発する仕事
  • 我々が使用しているほとんどの機械は組み込みエンジニアが開発するソフトのおかげで機能しており、活躍の場は広い
  • ソフトウェアだけでなく、ハードウェアの知識も必要で、C言語・アセンブリを扱えると役立つ
  • 現在人手不足で、テスト・デバック業務からのキャリアアップも可能
  • IoTやAIの分野の発達で組み込みエンジニアの需要は高まっているが、求められるスキルも高度なものになってきている